ZAKIOLOGY

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書評 メタバースがGAFA帝国の世界支配を破壊する! 深田萌絵氏

深田萌絵氏の本は今まで何冊か読んだ。

けれど、いつも難しいため書評してこなかった。

情報量が多いし、ITに関する知識のない人に向けて書くには、

どうしても難しすぎると思った。

 

しかし、それでもこの本は良い本だと思ったし、

読んで損はないと思ったため、書評しておく。

 

 

 

特にこの本のあとがきは素晴らしいと思った。

この部分だけでも読んでみる価値があると思う。

 

ザックリした要旨

ザックリとした要旨を適当に書いておく。

僕が覚えている限りのものであるため、

本当にザックリした要旨だけれど、参考までに。

GAFAの情報統制とそれへの反逆

まず、現在は、情報統制が行われているということ。

グーグルからはワクチンに関するネガティブな情報がなくなったりしていたことに象徴されるように、

巨大企業にとって都合の悪い情報が削除されたりしていることは皆さんもお気づきの通りだ。

インターネットの良さは、情報の自由さであり、

その自由さを失っているのが現在のネットというわけである。

自由がなくなったら、そこに反発が生まれるのは明白で、

それに関連しているのがweb3.0。

Web3で構想されているのは、ブロックチェーンを使って、

情報をもう一度自由にすること。

NFTやビットコインなどの仮想通貨も出てきているが、

ブロックチェーンがその背景にはある。

 

つまりは、自由と支配の対立であるということ。

今は巨大IT企業によって支配されている。

それに対抗して、自由を求める人々がいて、

その人らによる革命が起こされそうであるというのが、

Web3やメタバースということになる。

 

メタバースと中国

ただし支配する側がメタバースの入り口を押さえてしまえば、

その革命も成り立たないらしい。

それを行おうとしているのが中国で、

メタバースは今あるネットの機能が仮想空間で行える別の仮想世界で、

しかもそれが、アバターを使って相互作用をしながら行えるらしい。

詳しくは、本書を読んでほしいのと、

 

 

このレディプレイヤーという映画を見るとよくわかる。

 

それで、メタバースの入り口さえ押さえてしまえば、

すべての情報を手に入れることができるらしい。

中国が欲しているのは情報。

情報なんて何の価値があるの?

と思われるかもしれないが、

情報というのは潜在意識に入る。

無意識に人の行動を変えることができる。

 

広告はその最たる例であるが、

単純に広告をたくさんみると買いたくなったりする。

単純接触効果という。

これはアニメのOPが売れる理由でもある。

 

単純に情報に触れる回数が増えるだけで、思考はそれに汚染される。

 

だから、ターゲティング広告をGAFAは使っているし、

アルゴリズムによってあなたに最適な広告が見せられているはずだ。

今までの検索履歴、今までの動画の視聴履歴などの情報から、

あなたを購買行動につなげやすいと思われる広告を打ち出してくるシステムなわけ。

 

だから、情報を握られるということは、

購買行動を操作されるかもしれないということ。

情報を握られることの脅威はそれだけでない。

中国は監視国家になっているが、

防犯カメラなどでずっと国民が監視されている。

国民がスコア化されていて、そのスコアによって待遇が変わる。

スコア化は人間自体の情報化、数値化である。

 

中国はそれを全世界においてやりたいらしい。

だからメタバースの入り口を押さえたい。

メタバースの入り口を押さえてしまえば、

その入り口を入るときにすべてのユーザーの情報を取ることができる。

 

アプリを使うときの「同意」と同じように、

細かい字でああいう文章を作って、読む気力を失わせ、

漫然とそれに同意させれば良いのだから。

しかも同意しない選択肢はない。

同意しなければそのアプリは使えないようになっている。

メタバースも同じようにしてしまえばいい。

メタバースのインフラ技術が未発達であり、主導権を奪い返すなら今しかない

でも肝心なメタバースの入り口の技術がまだ未熟で、

それの鍵を握っているのが、なんと日本らしい。

ヘッドマウントディスプレイでは重すぎて長時間つけていられないし、

インフラが整っていないようだ。

日本の3Dの映像技術などがメタバースには必要らしい。

というか、その技術が開発されていないがために、

まだメタバースは普及していないらしい。

 

そのインフラとなる技術の元を持っているのは日本の企業であり、

その技術を乗っ取ろうと画策しているのがTSMCなのだそうだ。

そしてそのTSMCのバックにいるのは浙江財閥、中国なのだそう。

だから著者は、TSMCが日本に誘致されたり、技術が盗まれることを危惧している。

 

まだインフラが整っていないため、

今ならまだ中国やGAFAから主導権を取り戻せる。

だから、今こそ彼らに反逆するべきらしい。

 

長くなったが、僕が覚えている限りでは、

上に書いたようなことが本書では詳しく記述されている。

 

感想

結論から言えば、めっちゃ面白かったし、オススメしたい!

 

マークザッカーバーグと言えば、

映画の「ソーシャルネットワーク」のイメージしかなかったけれど、

よくよく見返してみると、

なんかよくわからないタイミングでよくわからない資金を得ていた。

マークザッカーバーグはプログラミングがすごくて、

Facebookを立ち上げることができたのだと思っていたけれど、

本当のところはお金を得ることができたから。

そのお金をデータセンターコストに回すことができたからだったのだと今更ながら腑に落ちた。

 

最近のアップルに対してあまり感動しなくなってきたが、

それは偶然でもなく、僕がおかしいのでもなく、

なんでアップルでイノベーションが起こらないのかも、

よくわかった。(僕はAndroidユーザーである)

 

GAFAは大きくなりすぎたんだなと思った。

 

今はみんな、GAFAが崩れるなんて想像もつかないだろうけれど、

この本を読んだ今、僕は、

GAFAが崩れる日が来るのもそう遠くないのかもしれない。

と思った。

 

それくらい衝撃的な内容だし、

あまりメディアでも語られていないので、オススメである。