僕にはそれほどの才能はない。音楽をやるのはすごく楽しい。けどさ、それで飯は食えないよ。何かをうまくやることと、何かを本当にクリエイトすることのあいだには、大きな違いがあるんだ。
アフターダークより引用
最近、あまり小説を読まなくなった。
それはたぶん、村上春樹氏のせいだ。
他者に責任をなすりつけるのはけしからん!
と思われたかもしれないが、
それでも、その責任のいくらかは、村上春樹氏にある。
彼のような心に響く小説に出会うことが少ない。
彼の小説を読んでからというもの、
どうしてもそれと比べてしまう。
特に去年は、ノルウェイの森、騎士団長殺し、女のいない男たち、多崎つくると彼の巡礼の年を読んだ。
そうなると、もう他の作家の作品がどうしても陳腐なものに思えてしまう。
彼と肩を並べられる作家がどれくらいいる?
現代にはいないと僕は思ってしまう。
あくまでも主観であるから、批判はあると思うが、
それでも、現代に村上春樹氏を超える作家はいない。
僕に与えられた選択肢は3つ。
諦めずに新しい作家を探す。
村上春樹氏の本を読破してしまう。
古典を読む。
それくらいしかない。
たくさんの小説を読むことはある意味、損かもしれない。
素晴らしい小説によって感動体験が積み重なっていく。
その積み重ねは、経験になる。
もう、これくらいの物語では感動しないよ。
そう思ってしまう小説に多く出会うことになる。
少なくとも僕は、陳腐な恋愛小説に感動できるような感性をもう持ち合わせていない。