僕の世代で落合を知っている人はどれくらいいるだろうか。
僕はちょうど野球少年だったころに落合が監督をしていた。
強い野球チームと言われると、真っ先に思い浮かぶのが当時の中日だ。
あの当時の中日の強さは異常だった。
後にも先にもあのような強さを持ったチームをみたことがない。
僕はエースピッチャーだったが、
やっぱり当時のドラゴンズを意識していたし、
特に浅尾には憧れた。
当時のことを思い出しながら、この本を読んだ。
今思えばたしかにあのときの中日の雰囲気は、
どこか殺伐とした緊迫感があったと思う。
落合の厳しさゆえだろうけれど、
当時は何もわからずに「かっこいい」と思ったものだ。
落合のポリシーにはどうしても惹かれる。
孤独に自分のやり方を貫き、そして結果も出す。
その職人とも言える仕事姿に僕は畏敬の念を持たずにはいられない。
最近読んだ雑誌の中に、
論語は嘘っぱち、マキャベリの現実主義でなければ会社は倒産する。
と書かれていた。
落合はまさにマキャベリの現実主義であると思う。
選手達には自分の責任を持たせ、プロとして結果にこだわらせた。
僕もこんな風に淡々と自分の役割を果たし、
言い訳せずに結果を出せる人間になりたい。
荒木の章で書かれていた、もっとも心に残っている一文を紹介して締める。
「心は技術で補える。心が弱いのは、技術が足りないからだ」