こんにちは。
おざきです。
今回は、川上未映子さんの乳と卵についての感想を書いていきます。
まず文体
まず何よりも、文体が読んだことのないテイスト。ひたすら羅列していくという非常に読者にこびない文体で、最初の方は悶絶しながらも読んでいました。
読み終わったら、あの文体だからこその終盤の描写なのだなと思えましたが、読んでる最中はかなり苦戦を強いられました。
最初は面食らうかもしれませんが、少しの毒があるくらいの方が面白いというものでもあります。
なんとか食らいついて終盤までたどり着けば、まったく景色が変わるのではないかなと思います。
余談ですが、読書論では、いつも速読か精読かの論争がありますよね。
僕は、ビジネス書の類いも結構読む人なので、速読も得意といえば得意なのですが、
小説にかんしては、あまり速読しないほうがいいなと思っています。
普段ビジネス書ばかり読んでいると、ついつい小説にも早さを求めてしまって、じっくり作者と語り合うことをしなくなってしまうのですが、それでは得られるものが少なくなってしまうものです。
小説は、本当にじっくり読むほうが世界観に浸ることもできるし、自分の中にない世界に足を踏み入れるときは、ちゃんと腰を据えて一歩ずつ歩みを進めていく必要があります。
この乳と卵も僕にとっては未知の世界観だったので、本当に読むのに時間がかかりました。
時間がかかったものの、やはり時間をかけた分だけ作品に対する愛情も深まっていくというか、かけがえのない作品になったように思います。
ほんまのことって何?
まだ一回読んだだけなので、わからなくて当然なのですが、
終盤の緑子の言うほんまのことっていうのが何なのか。
それがわかるようでわからない。
いや、なんとなくはわかっているし、それを言い表す言葉を僕は知っている。
緑子が言いたいのは、なんで世の中は無やのに、何かを生み出して、辛い思いばっかりしてんの?ってことだと解釈した。
ほんまのことって何もなくて、一切空やのに、なんで世の中に生まれてきたん?
そもそも出産なんて痛いし、金かかるし、子供も生きていても辛いことばっかりやのになんでそんなめんどいことしてんの?
そもそもなんで?
っていうことの堂々巡りの果てが、一切空、無、
僕は、中学生のときから、生きる意味って何?って考えてた。
親にも、聞いたし、いろいろな本に生きる意味とは。とか仏教ではどうとかこうとか。
そんなんも勉強したりしたけど、結局、無やん。
人間なんて何も生み出せないし、人生で何が変わんの?
そもそも死んだら、何ものこらへん。
じゃあなんでそこまでして無理してん?
なんで?
どうせ死んだら何ものこらへんのに、わざわざ嫌な思いまでして、辛い思いまでして生きるのはおかしい。
好きなことで生きていったって結局は無やねん。
なんものこらん。
じゃあ自分は何がしたいん?
よくわからん。
わからん.
ってな感じで考えてしまったわけです。
あなたにとってのほんまのことって何ですか?
ほんまのことってそもそもありますか?
世の中の真理ってほんまのことですか?
そんな感じの問を持った上で読んでもらうと、より楽しめるかもしれません。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
では。